醤油蔵で出会った笑顔

職人醤油通信(メールマガジン)に書いた内容を記載。
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先日、愛知県から小豆島を経由して兵庫県の醤油屋さんに伺ってきました。

同行者は、大手の醤油メーカーの開発担当のNさん。

醸造や発酵に関する理論的な話はお手の物で、
私が何か質問しても、きちっと道筋立てて解説をしてくれます。

理論に偏ることなく物腰も柔らか。
そして純粋に醤油が好きっていうのが伝わってくる雰囲気で、
同世代ということもありますが、
個人的にもとても仲良くさせていただいている方なのです。





醤油屋に同業である醤油屋が立ち入るのは珍しいことだと思います。

しかも、大手と地方の伝統的な蔵元とでは、
お互いに暗黙のうちに遠慮しあうというか、
そもそも接点がないということもあると思いますが、
現場に入って話をすることはあまりないはずです。


今回、ある醤油蔵で印象的なことがありました。


到着すると社長さんが応接室に案内してくださり、
現場を熟知している職人さんも同席していました。

ただ、その職人さんはほとんど口を開きません。
私が話を振っても、一言二言を口にするだけ。

Nさんを連れてきたことで不機嫌になっているのかな・・・
と、少し心配になりながら、
「そろそろ中を見せていただいていいですか?」と
蔵の中に移動をしました。





すると少しずつ口数が多くなってきした。

ちょうど麹づくりの解説をしている時、
「経験的にこうするのが正しいと思ってるんですよ」と言うと、
Nさんは「それは理にかなっていると思います」と返します。

そして、なぜそれが理にかなっているのかを
醸造学に基づいて論理的に説明しはじめたのです。

それを聞いていた職人さんの表情がみるみる変化してきて、
今までに見たこともないくらいの満面の笑みに。

はじめてサンタクロースにプレゼントをもらった子供のような、
あっけにとられているような純粋な笑顔で、


「じゃあ、いままでやってきたことは間違ってなかったんですね!」と。





その後の二人は勝手に盛り上がっていました。

予定していた時間を大きく超えて、
「次の約束に間に合うギリギリなので」と
何度か遮る必要があるほとでした。

二人の会話を聞いていて、
私自身とても勉強になったのですが、
それ以上に、やっぱり製造の現場っていいなぁ〜っと感じていました。



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[職人醤油通信 vol.107]醤油蔵で出会った笑顔
http://www.s-shoyu.com/howto/ml/107.html