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日本の醸造業 2


醤油造りに大切なこととして長年言われていることに、こんなフレーズがあります。【一麹(こうじ) 二櫂(かい)、 三火入れ】。そして、日本酒にも同じような文言があって、【一麹(こうじ) 二酛(もと) 三造り】。

それぞれ製造の工程を意味していて、「一麹(こうじ)」は共通していますが、その後の二つが異なってきます。


■醤油

【一麹(こうじ)】 :

蒸した大豆と炒った小麦に麹菌をまぶして、麹菌を繁殖させます。三つの中でも最も重要ともいわれています。良い麹菌が成長するかしないかが、後の工程に大きな影響を与えます。最初から職人の真剣勝負が始まります。

【二櫂(かい)】 :

麹を塩水の中に入れたものを諸味(もろみ)といいますが、この諸味をかき混ぜることを「攪拌(かくはん)」といいます。これは「櫂入れ」とも呼ばれ醤油造りに欠かせない工程です。攪拌することで微生物の活動に欠かせない空気を送り込み、その量に応じて醗酵のスピードを調整します。

【三火入れ】 : 

熟成された諸味を搾ると生の醤油ができます。この生揚げ醤油を加熱することで、微生物の活動を止めて醤油独特の香り・色を引き出します。


■日本酒

【一麹(こうじ)】 :

蒸米に麹菌を混ぜて繁殖させます。米のでん粉を糖化させます。

【二酛(もと)】 :

麹から「酒母」を造る工程です。酒の母と書くとおり酒造りの主役である「酵母」を大量に培養させてあげます。麹に水と蒸し米を加えて50日かけてつくります。

【三造り】 :

諸味(もろみ)づくり。酒母に水と蒸し米をくわえたもので、これが原酒になります。


醤油も日本酒も原料を大きな桶・タンクに仕込んで熟成させますが、日本酒は仕込むまで(一麹 二酛 三造り)が特に重要視され、醤油は仕込み後の熟成(二櫂)と、搾った後(三火入れ)が重要とされています・・・次回へ続く。。。

天野醤油100ml到着しました!

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 静岡県御殿場市にある天野醤油から100ml醤油が到着しました。濃口醤油の「本丸亭」と再仕込み醤油の「甘露しょうゆ」の2本です。


 静岡県は醤油組合が運営する工場が、大規模かつ効率的に整備されている地域の一つです。裏を返せば、自分の蔵で原料からの仕込みをしている蔵が少ないということで、私が把握している限り2つしか存在していません。

 そのうちの一つである天野醤油から届いたのは、富士山麓に湧く銀名水を仕込み水に使った、この地でしか造ることができない醤油です。

厳選された原料に自然環境下で熟成させる天然醸造の醤油たちは、第27回全国醤油品評会にて農林水産大臣賞を受賞するほどの実績の持ち主です。


 そして、天野醤油は地元の方に愛されている醤油蔵です。昨年の仕込み時期に、早朝から仕込み風景を見学させてもらっていたのですが、いつも地元の方が直接醤油を買いに来られていました。また、静岡県東部(御殿場市・沼津市・三島市・裾野市)の小中学校へも天野社長自らが車で給食で使われる醤油を届けています!


天野醤油

http://www.s-shoyu.com/amano/


参考:静岡県産醤油協業組合

http://www.syouyu.com/

米国での遺伝子組み換え大豆

米国の遺伝子組み換え大豆の割合 1997年 12.7% → 2007年 91%
日本の大豆の自給率 5%

 日本では「遺伝子組み換え大豆」に対する拒絶感は強くて、大豆加工製品には「遺伝子組み換え大豆ではありません」と表記されています。ただ、米国には遺伝子組み換え大豆の表示義務がないために、知らず知らずのうちに遺伝子組み換え大豆が普及している様子です。

 そもそもなぜ、遺伝子組み換え大豆が誕生したのか?

 「大豆の効率的な生産を行うため。」が答えのようです。米国では大規模農園での大豆生産が主流で、見渡す限りの広大な土地で大豆生産をしています。大豆に限らず農業の大敵は害虫。その駆除のために農薬を使用しますが、量が増えると大豆にまで枯れてしまう。なら、農薬への耐性が強い大豆をつくろう。というのが遺伝子組み換え大豆です。

 言い換えるなら、遺伝子組み換え大豆はペリコプター散布された大量の農薬で育てられた大豆というわけです。

 そして、その背景にあるのが「モンサント社」という米国大手農業化学企業。遺伝子組み換え大豆の種子の90%シェアと「グランドアップ」という除草剤を扱っています。NGO団体グリーンピースが「モンサント社7つの大罪」としてレポートを公表しています。
http://greenpeace.or.jp/docs/gm/monsanto.pdf

 そのような背景で、輸入大豆で遺伝子組み換え大豆でない大豆を探す方が難しくなり、その大豆を作ってもらうために、通常の仕入れコストとは別に「プレミアム」料金を支払う必要性が・・・商社マンがものすごく奔走しています。「プレミアムは、ほんと信じられない額ですよ・・・」とポツリ。。。

念願の寺田本家に訪問

寺田本家

 2008年に読んだ本のベスト3の一つである「醗酵道」の著者である寺田啓佐さん。寺田本家の当主でもあり、訪問したい!訪問したい!と願っていた矢先にそのチャンスが巡ってきました。

 もともとは醤油の職人さんから薦められて読んだ本なのですが・・・

 日本酒の醗酵の世界は微生物の世界。その世界からは哲学だったり、人の生き方にも共通する教えをもらうことができます。訪問後に改めて本を読み返すと、よりストンって腹に落ちました。

 素晴らしい出会いに感謝。やっぱり大切なのは感謝の心!
 ありがとう・ありがとう・ありがとう!なんですね〜!

◆訪問の様子
http://www.s-shoyu.com/news/003.htm


 腐敗と醗酵の違いは結構曖昧で、人間に有害なら腐敗、人間に有益なら醗酵。原理は微生物の活動の結果であることは同じ。「腐敗じゃなくて、醗酵しちゃえ!」を繰り返す寺田さん。相当に多くのことを含んだ名セリフだなって、つくづく感じます。


◆醗酵道から抜粋 〜 御酒ひびき 〜

 【うれしき】

  ・相手に喜びと満足
  ・みんなが豊かになる
  ・無条件に与える。尽くす
  ・損をしても徳を積む
  ・多種多様な力
  ・仲良くする
  ・生命の結び合い
  ・徹底していく
  ・変化する
  ・調和と愛


 【楽しき】

  ・楽しく働く
  ・生命をよりよく生かす
  ・私利私欲を捨てる
  ・お金も大切
  ・適度の質素
  ・素人の感性
  ・掟、常識を破る
  ・自分の持ち駒、持ち味を使う
  ・順風に乗る
  ・自己流の生き方


 【ありがたき】

  ・無限に感謝する
  ・神意に添う
  ・自然に学ぶ
  ・素直に観る
  ・プラスの言葉
  ・勇気、決断、実行
  ・信用、信頼
  ・トラブルは自分の責任
  ・決断は自分一人
  ・謙虚


発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方


東京新聞(夕刊)に掲載いただきました!

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2009年1月10日 東京新聞(夕刊)に、職人醤油を扱っていただいているベターリビングエクレ(埼玉県越谷市 イオンレイクタウン内)と「職人醤油」を紹介いただきました。

写真は斉藤店長。醤油もぽん酢も大好きな方で、雑貨のセレクトセンスは抜群です!

レイクタウンお立ち寄りの再は是非お立ち寄り下さい。

イオンレイクタウン

http://www.aeon-laketown.jp/mori/shop/s_shop/goo_209.html

寺田本家に訪問

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 千葉県にある日本酒の醸造元、「寺田本家」。醤油の職人さんに薦めていただき読んだ本「醗酵道」の著者である寺田さんが、無農薬米と生酛(きもと)造りという昔ながらの方法で日本酒造りをされている蔵です。

 「醗酵道」を読んで以来、「絶対にこの蔵に行きたいなぁ〜」と思っていたのですが、池袋のオーガニックバー(たまには月でも眺めましょ)主催の「寺田本家ツアー」を目にして迷わず申し込み。念願だった寺田本家にお伺いしてきました。

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 笑顔で迎えてくださる寺田さん。日本酒の業界も、醤油の業界とすごく似ているなぁと感じました。戦時中の米不足をきっかけに始まった「アルコール」や「乳酸」などを添加してつくる「速醸」の酒。生産効率や安価な酒づくりを目指す中で、本来の「醸造」によるものづくりが失われてしまったそうです・・・これは醤油と同じ。

 「醸造」の主役は麹(こうじ)菌や乳酸菌、酵母菌といった微生物たちの活動。例えば、日本酒の元になる「酒母」を完成させるのに1ヶ月くらいかかります。それは乳酸菌を取り込む作業だから、人工的につくられた乳酸を使えばいい。そうすれば、作業に係る人件費も時間も大幅に短縮できる・・・みたいな。

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 蔵に入ると、蔵独特の醗酵臭が漂っています。醤油蔵とは少し違うものの心地よい香りだなと感じていると、「小学生が団体で見学に来る機会が多いのですが、一人が『お〜、くせ〜』といいだすと、皆が臭い!臭い!の大合唱になるんです。腐敗と醗酵の臭いの違いが分からないのですね・・・」と寺田さん。

 そういえば、自分自身も小学校の時に漬物屋さんの匂いが臭いなぁ〜と感じたり、醤油蔵に初めて訪れたときもすごい匂いだなぁと感じたことを思い出しました。

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 寺田本家で使われる米は無農薬米で生産者の顔が見えているものばかり。しかも、通常の日本酒造りは精米したものを使います。精米歩合70%以下が「純米酒」とよばれたり、50%以下のものが「純米大吟醸酒」とよばれていたりします。つまり、お米の芯の部分だけを使ったお酒ってことです。

 ここに並んでいるのは玄米。一切精米されていないお米です。通常の玄米だと皮が邪魔をして麹菌が米内部まで入り込むことができないので、発芽をさせて芽を経由させて麹菌を繁殖させているそうです。この手法にたどり着くまでにもたくさんの試行錯誤があって、伊勢神宮の文献に書いてあった太古の酒造りがヒントになったそうです。

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 ここで「酒母」造り。なめさせてもらうと、最初は「すっぱい」が「甘い」に変化していきます。麹菌の働きによって、米の「でん粉」が「糖」に変わったものと、乳酸菌の働きの結果でしょうか。

醤油の場合は、「麹→諸味」となりますが、日本酒の場合は、「麹→酒母→諸味」となります。

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 諸味を熟成させます。

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 蔵見学後は各自の持ち寄った料理とお酒を囲んで宴の開始。獅子舞も登場して盛り上がりました。

 日本酒も醤油も同じ醸造品。ものづくりをする職人さんの考え方や姿勢は同じでした。良いものを。美味しいものを。口に運んでくださるかたの健康を・・・

 大切にしていることは?の質問に対して「感謝の心」と寺田さん。醸造・醗酵の世界、微生物の世界は奥深い。「みんな醗酵してしまえばいいのに♪」

醤油の美味さを広めたで賞

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カラメルショップ大賞2008

http://okini.calamel.jp/?eid=299

お取り寄せグルメ、飲み物部門

「醤油の美味さを広めたで賞」として表彰していただきました。「職人醤油.com」のショッピングツールを提供してくれている「カラメル」が主催するもので、7,000店舗から17店舗がそれぞれ選出されています。

少しずつ認知度が高まっていること、すごくありがたいなぁ〜と感じています。2009年も頑張ります!!!

学校給食のお米の回数

2008年12月31日 毎日新聞

「ご飯給食 週4回 文科省、23年ぶり目標引き上げへ」

学校給食でご飯を出す目標数値が週4回に増やすことで検討がなされているとの事です。現在の目標値は23年前に定められた週3回。全国平均値で達成されたことを受けての今回の再検討に至ったそうです。

*米飯給食の平均回数(07年度調査速報値)

4.0回 高知

3.7回 新潟、福井、京都

3.5回 山形

3.4回 岩手、鳥取

3.3回 宮城、富山、石川、島根

3.2回 秋田、千葉、和歌山、佐賀、宮崎

3.1回 福島、岐阜、愛知、三重、岡山、徳島、福岡、大分、鹿児島、沖縄

3.0回 栃木、長野、滋賀、兵庫、広島、香川、熊本

2.9回 北海道、青森、茨城、山梨、愛媛、長崎

2.8回 群馬、東京、茨城、山梨、愛媛、長崎

2.7回 埼玉

2.6回 大阪

2.5回 神奈川



*学校給食の歴史

学校給食は戦後に「コッペパンと脱脂粉乳」を中心に始まったものです。(1954年学校給食法施行)

栄養不足の子供への対応策という一面がある一方、日本人のパン食化を加速させる強力なキッカケになりました。

その後、「米飯給食」が正式に導入されたのはコメ余りが深刻な問題となった1976年(当時は週0.6回が平均値)。

1990年代からは「食育」という側面から、学校で伝統文化や郷土の産品を教えようという声などを背景に米飯給食は増え続けています。

新年あけましておめでとうございます。

職人醤油.comを昨年の5月にオープンしてから、たくさんの方に支えていただき2008年を終えることができました。本当にありがとうございました。

本日より「職人醤油.com」の2009年がスタートいたしました。全国には約1600の醤油メーカーが存在しており、それぞれの土地に、その土地に根ざした文化があり、郷土料理があり、醤油があります。

そんな、職人が昔ながらの手法で仕込む醤油には、それぞれにオリジナルなストーリーが秘められています。職人が一年以上の時間をかけて見守り続けた美味しい醤油を、更に多くご紹介できるよう本年も精進して参ります。

宜しくお願い申し上げます。

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