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金丸弘美さんの講演会 1

食総合プロデューサーの金丸弘美さんの講演会に参加。90分しゃべりっぱなしだけど、所々に笑いありで話がお上手。プロデューサーやコンサルタントのような立ち位置だと思うけど、徹底的に現場に即した話。評論家的だったり分析的な話ではなく、○○地域の誰々さんがねって、実体験だったり現場に即しているからみんな真剣に聴く。

印象的だったのはテキストにまとめること。例えば、蕎麦の産地の2位は茨城。1位の北海道と3位の長野は納得だけど、茨城はちょっと意外。だからこそ、発信してきたいと要請があり訪問。では、他地域と何が違うの?と訪ねるも誰も答えられない。だからテキストづくりをしてもらう。

品種の違いから今に至る歴史、文化的な背景を徹底的に調べてもらってテキストにまとめる。現場の人たちの共通認識になって誰でも紹介できるようになる。その上で関係者をつなぐ。普段は関り合いのない地元の生産者同士をつなぐ。他の分野とも繋ぐ。東京の1つ星レストランで蕎麦会。名人のおばあちゃんの蕎麦とシェフがつくる蕎麦モチーフ料理の共演。お互いの交流から生まれるものとメディアからの注目ってわけ。

浅間酒造さん訪問

マサからのお誘いで群馬県は草津温泉近くにある浅間酒造さんに伺って来ました。櫻井専務に二日間に渡ってご案内いただき、同世代の男三人で濃い時間を・・・ただ、自然と日本酒・醤油の話になるわけです。

日本酒の消費量比較。家庭向けと飲食店向けでは飲食店が圧倒的といいます。そして、醤油との違いは酒販店さんのような存在がいるかどうか。酒販店と飲食店の存在なしに日本酒の流通はないわけで自然とそのような話しになるのです。



蔵や杜氏さんの考え。どんなお客さんに向けてどんな酒を造るのか?ここを明確にすることって重要そう・・・だと、誰もが考えると思います。ただ、製造業となると持っている設備との兼ね合いもあるからより難しい。例えば、大量生産に対応できる設備があるけど、質にとことんこだわった造りをしたい。となると、現状の設備だと理想通りにいかなかったりする。

こんな設備にだったら良いのだけど・・・その想いは尽きないと思う。そして、時代を経る毎にその時代の造り手の考えも変わっていく。今ある設備が前提で、その上でどれだけ理想に近づくことができるか。これも造り手の戦いなんだとな。

menthe a l'eau,

「フランスに万太郎があるらしいぞ!」と有田屋の湯浅社長からの電話。てっきりマンタローというフランス料理のお店が日本にあるのかと思って聞いていたら、映画「アメリ」の中にでてきたとのこと。なんだなんだ?!とさらに聞いていると、

menthe a l'eau,

「mentheはミント」で「l'eauは水」の意味らしく、発音は「マンタロー」になるらしい。フランスのカフェで「まんたろーしるぶぷれ」というとミント水がでてくるらしい・・・今度フランスの方に会ったら聞いてみよう。

山梨ワインの旅 3

四恩醸造の小林さん。2007年に四恩醸造を立ちあげて既に商品の完売が相次ぐ存在に。商品の魅力は造り手の魅力であり、商品の個性もまた造り手の個性なんだと感じさせてくれる方。

ブドウの収穫ボックスが綺麗に整理整頓されているのを見て、「どうしてここまで綺麗に?」と尋ねると、汚れた箱をブドウ生産者に渡すと汚れて帰ってくる。綺麗な箱を渡すと綺麗なまま帰ってくる。道具には意志があるから、常に決まった位置に返して上げなさいと言われたもんですよ。まだまだなんですけどね・・・と笑う。

ワイン業界で新しい挑戦をしている人というイメージ。そして、考えの範囲は「食」。徹底して少人数でワイン造りができるように考えて工夫している。目指すべき方向も明確で、あくまでテーブルワイン。そして、入門者と飲みきった方に楽しんでいただきたい。お客様は違いを分かる。すぐに言葉で表現できないだけ。時間がかかるだけ。違いは分かっている。

山梨ワインの旅 2

正確な規程は忘れてしまったのですが、アルコールは税金との関わりが大きいため、年間に製造しなくてはいけない量の規程があるそうで、(製造免許を取得するための規定量だったかもしれません・・・)、ワインは日本酒よりも少なくて10分の1程度でよいとのこと。少量生産での経営ができるわけで、現にご夫婦と数人で経営されているワイナリーや、四恩醸造さんは小林剛士さんはお一人でされていました。

ブドウの収穫時期である8月〜9月頃からワイン造りがはじまるのですが、ワインは醤油と同様に発酵食品であるために酸化との戦いです。醤油の場合は搾ってからの問題なのですが、ワインは製造中から如何に酸化させてないかが重要視されていました。まさに短期決戦というわけです。

テーブルワインと希少性は同時に成り立たないものと小林さんは表現されていましたが、「たくさんつくる」ことと「造り手の顔を感じる」ことも同時には成り立たないと思います。テーブルワイン=大量生産 / 希少性=こだわり製法 と考えてしまいがちですが、こだわり製法でありながらテーブルワインを目指している小林さんの表情は魅力たっぷりでした。

醤油にしても、たくさんつくって安く販売する。もしくは、とことんこだわって高い価格で販売する。という二つだけの道ではないはずだと感じたのです。ポイントはやっぱり「造り手の顔」なんだと思うわけで、一度使ったことのある方が友人に自慢したくなっちゃうような。

つづく

山梨ワインの旅 1

2012年6月、ミツル醤油の城さんと山梨のワイン醸造蔵に訪問しました。
甲府市の五味醤油さんからご紹介いただき、中央葡萄酒さんと機山洋酒工業(キザンワイン)さん、四恩醸造さん。

基本的なところから。ワインボトル750mlをつくるのに、どのくらいのブドウが必要かというと1キロなんだそうです。搾ったものに加水したりで容量を多くしたり・・・などはないそうなので純粋にブドウの75%がワインになるそうです。

そもそもアルコールは酵母菌の力を借りて、糖をアルコールに変化させます。日本のアルコールといえば日本酒ですが、原料となる米には糖分がないので、別の微生物の力を借りる必要があります。麴菌に助けてもらって、米のでんぷんをブドウ糖に変えて、その糖分をアルコールに変化させるという二段階の発酵が行われているのです。一方、ブドウはそもそも糖分を含んでいるので、ブドウの出来が重要といわれるのです。

どんなブドウがよいのですか?と伺うと、確かに糖度が高いものが良いそうなのですが、糖度が上がると酸度が下がるのでバランスが難しい。そして、温暖化の影響もあり最近は気温が高くなりすぎているそうです。そもそもなぜ山梨でブドウ栽培が盛んになったのか?甲府盆地といわれるように傾斜のある土地では果物がよい生育をするそうです。水はけがよいからで、水はけがよいことは果物にとってはちょっと過酷な環境。いつも水が身近にないので栄養を溜め込もうとする。それが糖分になるというわけ。傾斜では米は作りにくいので一昔前には桑畑が広がって養蚕農家が多かったそう。そのままブドウに移行した農園も多いらしい。

つづく

お店で食べたら2000円よ!



山梨県甲府市の五味醤油のお母様に作っていただいた「ほうとう」。

地元の郷土食として有名だと思いますが、名ばかりの郷土食ではなく、本当に日々食しているそうです。週何度も食べるし具材を変えることで飽きることないのよねぇ〜とのこと。そして、ほうとうに欠かせないのが味噌。甲府味噌は米こうじと麦こうじが半々のものが一般的で、スーパーにもずらっと地元の味噌が並んでいました。



そもそも今回の訪問の第一目的は、福岡県のミツル醤油の城さんの味噌仕込み体験修行。城さんと五味さんは農大の先輩後輩関係なのですが、それでも醤油屋さんが醤油屋さんに入っていって仕込みを手伝うことは普通では見かけない光景です。

醤油業界に限ったことではないと思いますが、「観光旅行などで一般客を装っていても、醤油屋に入るのはちょっと気が引ける・・・」と口にする蔵人は多いです。業界全体を盛り上げないといけないとは分かりつつ、商売上ではライバルでもあり、長い伝統の中で培っている製法をどこまで公開してよいか・・・悩みどころだと思います。

そんな中で、勉強熱心な城さんと、オープンに受け入れて一緒に麹の手入れをしている五味さん。現代の職人の姿を見ているような感じでした。

生の醤油麹

醤油麹

群馬県の有田屋さんの180周年記念イベント。
湯浅社長と私とで醤油のセミナー&醤油麹づくり体験を開催しました。

塩麹に続いて醤油麹がにわかに騒がしくなってきている・・・そんなように感じます。塩麹のときもそうでしたが、ブームになるといろいろな場所に商品が並び、様々な製造者・販売者が出てきます。当然、商品としての質も様々ですし、物流や小売の場面ありきで商品設計がなされているように感じます。

例えば、「酵素だったり微生物が生きている」ことと、「常温で長期保存」できることは両立しないわけです。常温密閉空間で微生物が生きた状態で商品品質を保つことはできないので、多くは熱を加えて微生物の動きを止めているはずです。でも、それとは違った商品イメージが膨れ上がって広がっているように思うわけです。

今回、有田屋さんでの醤油麹づくりは、麹も醤油も「生」のものを使用。商品化して流通にのせることはできないけど、だからこそ醤油蔵でしか体験できない醤油麹。今頃、参加者の方々のご家庭でそれぞれの発酵が進んでいるはず!

20年使っている倉庫



ミツル醤油の城さんと長野県の大久保醸造を訪問。大久保さんと相変わらず素敵すぎる奥様の手料理に至福の時間が流れ・・・城さんは大久保さんの醤油造りに終始興味津々であれこれ質問していました。全ての工程に大久保さん独自の理由があって、「○○の理由だからこうしている。」と完璧なまでに答える大久保さん。

省力化できる部分は徹底的に効率化。逆に、かける部分は徹底的にかける大久保さんスタイル。それは設備投資であったり時間であったりするのですが、上の写真は20年使っている倉庫。しかも地下なんです。室温は年間通して14度で、通常は電気も切っているので真っ暗。温度が一定で可視光線が入らないことは醤油にとって良い環境で、空調設備が不要なので電気代もなし。そして、ここまでなら他でもあり得る話かもしれませんが、壁の内側に大量の炭が埋め込まれています。地下特有の湿気臭さもないしこの綺麗さには驚くばかり。

醤油は時間と微生物の味と表現する大久保さん。例えば、棒が一本立っているとする。見た目は同じでも土に突き刺しているだけの棒と、根が地中深くまで張り巡らされている木では全く別物。「急ぐやつに美味いものは食べられないのさ!

「販売」という切り口



平松玲さんファミリーが群馬に遊びに来てくれました。東京のIT企業の取締役から奥様のご実家の徳島に移住して、地域ビジネスに挑戦している友人です。5ヶ月ぶりくらいの再会でしたが着々と準備を進めている様子。そして、奥様がまた素敵なんです。いつも笑顔ですぐに楽しい雰囲気つくれる女性。お昼ごはんにうどん屋さんに行ったのですが、順番待ちの最中、地元のおばちゃん軍団と早速仲良くなっていました。

よそ者的なポジションの人間が地域に入ってビジネスを立ちあげていく時、「販売」って切り口はハードルが低い気がするんです。東京に向けて売りましょうだったり、若い世代に売りましょう。または、販売店や飲食店との繋げる役目。仲介者だったり問屋だったり商社的なポジションなど。ただ、長い目で見ていくと、大きな企業が急に入ってきた時に負けてしまうかも・・・とか、商品が売れていくにしたがって、間に入っている自分の役割は?ってジレンマに陥ったり・・・といろいろ考えてしまうもの。

自分自身も最初の頃はそのあたりを考えていた気がします。まぁ、考えて答えが出るようなものでないと思うのですが、自分なりにしっくりきたのは、関わっている業界(私の場合は醤油業界)のあるべき姿というか、どうなるべきか?というイメージをもって、そのために自分ができることは何か?と考えること。

意識をしないと自分本位で考えてしまうもの。どこに自分が入り込む余地があるか?とか、どんなビジネスモデルを作れば儲かる仕組みができるかなとか。一度自分の存在は考えずに業界がどうなるべきかと考えて、じゃあ自分は何をするって順序で考えるとすっきりしたのを覚えています。

ほんの一例ですが、醤油に限ったことではないと思いますが、こだわったものづくりをしている人は直販の比率を上げるべきだと考えています。ただ、醤油を自分の意志で選んで買っているひとは皆無。1リットルサイズの醤油を3本買って味比べするというのはとても勇気のいることで、多くの方はいつもと同じ醤油か、価格の安い醤油、またはパッケージの素敵な醤油というような基準でしか選んでいないはずだと思ったのです。では、小さなサイズで気軽に味比べができるようにして、大きいサイズが欲しいって方には直接蔵元から買っていただこうというのが職人醤油です。

そんな意味でも、「徳島といえば平松に聞け!って存在にならないといけないと思っている。」と話す平松氏。さすがだなって!
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