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義侠の酒粕

店舗の看板に「酒粕」と大きく書いています。この時期特有なのですが、その文字に導かれてご来店いただく方がいて、醤油には目もくれずに酒粕だけをお求めいただきます。店内の9割5分以上は醤油なのですが、一直線に酒粕を探される姿に、酒粕好きな方って多いんだなって実感をします。

甘酒には2パターンあると思います。酒粕からつくるものと米麹からつくるもの。米麹のものはお米のでんぷんが分解されて甘いのですが、ここで活躍しているのが麹菌。

麹菌といえば醤油づくりでも欠かせない存在です。厳密には同じ麹菌でも種類は異なるのですが、それでも大豆や小麦をお米に置き換えれば製造設備はそのまま使えたりもします。そのため、醤油蔵が甘酒を手掛けていたりもしますし、淡口醤油の場合は原料として使うために日常的に米麹をつくっている蔵元もあります。

一方で酒粕からつくる甘酒。酒粕は造り酒屋でしかつくることができません。個人的にはこちらの甘酒の方が定番で、子供の頃は母の実家である京都にある酒蔵の酒粕。そして今は、学生時代の友人の実家が手掛ける酒粕を分けてもらっています。前橋本店でも扱いをしているのですが、すっかり冬の定番商品になっています。

義侠の酒粕
http://www.s-kura.com/?pid=126621553

ミツル醤油の城さんの奮闘記が100号に到達

2010年6月の第1号から7年以上にわたって書き続けてくれています。この100号をご覧いただけると分かりますが、城さんは失敗談を赤裸々に綴っています。

「大豆投入の初期段階でこれはダメだ‥と、思っていましたが身内に「大丈夫と」見栄を切っていたので引き返せませんでした。笑」なんて部分は、その状況が想像できてしまって、どうしてもニヤニヤしてしまいます。

でも、他の蔵人は城さんをうらやましいと思うはず。

ここまで大胆に試行錯誤できるのは稀です。毎年同じ品質のものをつくるのが暗黙の前提になっているのかもしれません。その中で少しずつ品質をあげる努力はすれど、それでも、大胆な製法変更には躊躇してしまうのも当然のことだと思います。

でも、城さんの手掛ける「生成り、」は毎年仕込み年度が商品名に入ります。毎年違うことが前提になっている醤油で、どんどん進化している醤油です。「生成り、」のファンも、今年はどんな出来になるのか楽しみにこの奮闘記をご覧になっているはず。

2017仕込み
http://www.s-shoyu.com/jo/100.htm

GUNMA WAGYU FES

GUNMA WAGYU FES

「GUNMA WAGYU FES」に参加してきました。
和牛をメインテーマに、浅間高原麦酒のビール、
群馬でつくられた菜種油(菜の花プロジェクト)の天ぷら、
和牛を使ってすべて群馬県産の材料でつくった餃子、
下仁田の蒟蒻達人、佐々木さんのしらたきを使ったすき焼き、
上州百姓 米達磨のお米をつかったリゾットなど。

生産者の顔が見えるというより、生産者がその場にいて、
料理人がその場で調理をするイベントでした。



最初は佐々木さんによる「しらたき」づくりの実演。
「しらたきと糸こんにゃくの違いって知っていますか?」
という佐々木さんに対して、みんなが「そういえば・・・」という顔。

関東がしらたきで関西が糸こんにゃく説とか、
いろいろあるようですが、しらたきはつくる過程で
白い滝に見えるから白滝(しらたき)なんだそうです。

粉を練って、ところてんの要領でお湯の中に搾りだす時に、
その糸状に搾りだされたものが白い滝に見えることから。
そして、板状につくられたこんにゃくを切ったのが糸こんにゃく。



ここに白い粒々が見えるでしょ。これ気泡なんですよ。
できたてのしらたきを光に透かして佐々木さんが説明をすると、
近寄ってじっくりと見入る参加者。

百聞は一見ですね。ここまでこんにゃくを間近にみていると
すき焼きを食べた時のしらたきの味わい方がまったく違います。
意識して食べるし、この食感はあの気泡だなとか、
そしてもちろんおいしいよねって。
これからも、しらたきを食べる時にずっとそうなりそうです。

まえばしめぶくトークに米倉誠一郎教授。チョイスを増やさないといけない。

まえばしめぶくトークが前橋テルサで行われました。
テーマは日本の教育とイノベーションを語ろう。
米倉誠一郎教授の基調講演。
そして、田中仁さんと共愛学園前橋国際大学の
大森昭生学長を加えてのトークセッション。

ステージを歩き回りながらの軽快な話ぶりの米倉教授。
時にはステージの下にまで下りてきて聴衆に質問をぶつける。

突然、「ここまでで質問のある人?」

手が挙がらないことに、日本人はここのマインドセットを
しなくてはいけないといいます。
海外であれば、まず手をあげる。パブロフの犬のように挙げる。
会場に100人以上いれば当たる確率はごくわずかだし、
指されてから質問内容は考えればいい。そんなスタンスだよ、と。



キーワードとして登場したのが「チョイスを増やす」というもの。
前橋駅の写真が映し出されて、「なんの特徴もないですよね?!」

そして、「〇〇対〇〇風」の文字。

例えば東京を目指した東京風。それで東京に勝てるわけがない。
「〇〇風」を目指して本物には勝てない。
けど、〇〇風がとても多い。
その地域独自の軸を持たなければいけないし、
駅にしても、この土地ならではの風情、雰囲気がつくれるはず。

日本の自殺率が高いのもチョイスが少ないことが原因。
失敗を許容してやり直しのきく社会にしないといけない。



このエピソードが印象に残りました。
障害者が同じ教室で学ぶ学校があって、ある保護者から
算数の授業の進捗が遅くなったと意見があったそうです。

その教師は、
「確かに授業の進捗は遅くなりました。
 ただ、うちのクラスが一番人にやさしいクラスに
 なっていますよ」と。

さらに、どなたか有名な方のセリフの引用として、
学校は安心して失敗ができる場でなくてはいけない。
そして、友達がいて、
毎日小さな成功体験を積み重ねることができる。
そんな環境をつくっていかなくてはいけないけど、
チョイスをどんどん少なくしてしまっている。

優秀なイノベーターの特性のようなものはないけど、
共通しているのはたくさん失敗をしている。失敗を恐れないこと。

大豆、小麦、食塩だけの醤油が本当によい醤油か?

大豆、小麦、食塩は醤油の基本となる原料ですが、
それ以外のものが入っている醤油はよくない!と、
そんな声を耳にすることがあります。

脱脂加工大豆やアルコール、そしてアミノ酸液や甘味料などが
名指しをされることが多いですが、それらが含まれているものは
偽物の醤油だという過激な意見も。

でも、ちょっとこれは、さすがに言いすぎだと感じています。



確かに、戦後以降の物資の不足している時期など、
原料コストを安くするためにアミノ酸液やそれに類する
ものを使っていたこともあったと思います。

ただ、現代では製造技術も大きく発達しています。
原材料も比較的容易に調達できるようになっていて、
大豆、小麦、塩だけの醤油は昔に比べれば容易につくれます。

しっかりとおいしい醤油となれば一筋縄ではいきませんが、
原材料表示がシンプルな醤油であれば安価に調達できます。

そのため、コスト重視だけの目的でアミノ酸液を使っている
つくり手は少ないように感じています。
むしろ、添加物って意外に高いですよと言われると思います。



九州に代表される甘い醤油。
アミノ酸液と甘味料を併用している場合が多いと思いますが、
地元のスーパーに行くとこのタイプの醤油が主役になっていて、
その土地で育った方にとってはこの味が醤油だと表現されます。

蔵元ごとに甘みの加減が違うので、蔵元の数だけ味わいがあって、
代々その味で育ってきたという家庭があるわけです。

その意味で、一概にアミノ酸液をつかった醤油を
否定することはできないと感じています。

大切にしたいのは、
生産者がどのような考えで醤油造りをしているか?
アミノ酸液を使うなら何故使っているのか?
単純に原料表示のみで良い悪いを判別したくはないですね。