楽してできることに流れてはいけない

福島塾。各地のスーパーの社長が集まっての勉強会。その中のある社長さん。「総菜部門のスタッフが退職したので、そのフォローのために現場に入った。すごく大変!こだわった素材を一から加工しようよと、今まで現場と喧々諤々してきたけど、現場は本当に大変。餃子一つとっても焼くの大変なんですよねぇ」理想を掲げることと、それを現場で実行するために落とし込むことは難しい。

そして、その大変なことを当たり前に定着させてしまっている福島会長は、「惣菜をレストランレベルにするという考え方があるけど、それよりも、お客様視点にたってときには、お客様が家庭で食べるタイミングでおいしい。そのことが大切だと思う」。どこを目指すかをはっきりさせること。そして、つくり手も小売りももっと勉強をしないといけない。そうでないから、楽してできる農業、楽してできる商業に流れてしまっている・・・。

高砂醤油本店(島根県)

高砂醤油

「ホント うれしいがぁ〜」と方言まじりに話す高砂範子さん。弟の勝行さんと共に家業の醤油づくりに携わりつつ、イベントに出店する理由をお客さんに会いに行くためといいます。島根県は自社醸造を続ける蔵元が多く、再仕込み醤油をベースに甘みをつけた醤油が流通しています。その絶妙な甘さ加減に他の地域のファンも多く、普段電話でしかやりとりできていないお客さんにイベント出店の際にやっと会えると、「お互いに、わぁ〜ってなるんです!」。

「石橋を叩いても渡らない家族です」と自分たちを表現しながらも、有機原料をつかった醤油の仕込みに挑戦中。綺麗に管理されている蔵内を見学させていただいた後に、「お客さんを蔵見学にご招待しちゃえば?!」と伝えると、「えぇ〜!そんな思ってもみなかったですよ。でも、楽しそうだね!やろうやろう!」と。すご〜く丁寧にお客さんをおもてなししている二人の姿が想像できてしまいます。

クルメキッコー(福岡県)

クルメキッコー

九州で見つけました。桶がずらりと並ぶ醤油蔵。福岡県久留米市にあるクルメキッコーさん。そして、それ以上に現場が若いパワーにみなぎっているのが印象的でした。

体育会系的な挨拶が清々しすぎて、思わず伺ってみると男性スタッフはみな野球部出身とのこと。諸味の攪拌作業を全て手作業でしている蔵元は数えるほどしかないと思いますが、全部手作業でこなすそうです。さすが野球で培ったパワーという感じですが、それ以上にスポーツをしてきた人は挨拶やチームワークの大切さ、マナーなどが自然と備わっているそうで、訪問して最初に感じた雰囲気は確かにそうだなぁと。

出荷場にはリサイクルされた一升瓶に詰められた醤油が山積みに。定められた位置にキチッと並んでいました。この整然と並ぶ様に野球部的なものをまた感じてしまいました。

小川醸造(鹿児島県)

小川醸造

「売れなくてよかったんだよ!」と小川会長。自分の納得を第一にした商品だったから、宣伝もしなかったし、売れなくても焦る必要がなかったといいます。

九州で一般的なのは生揚醤油にアミノ酸液を混ぜた混合タイプの醤油ですが、その製法ではなく、再仕込み醤油をベースにした甘い醤油。火入れの仕方なども創意工夫がたくさんなのに、たくさん売れなくていいんだと言い張る会長。そんなこと言わずに売りましょうよぉ〜とスタッフの方がつっこんでいました。

製造現場に行くと若い男性スタッフたちが作業中。カメラを向けると醤油を手にポーズを取ってくれるノリのよさ。

吉永醸造店(鹿児島県)

吉永醸造店

鹿児島中央駅から歩いて数分。吉永醸造店の店先に配達帰りのトラックが停まっていました。自分たちで説明できる範囲内の商売をしたいと、地元のスーパーにも卸をせずに、御用聞きで各家庭に配達をしているそうです。そして、店先にはご近所さんと思われる男性が、「五合ね」と言いながら一升瓶をビニール袋から取り出していました。店頭では量り売りもしています。

九州の醤油って甘いですよねという話題になった時、「私たちにとっては甘い醤油が当たり前なんですよね。だから、いつも逆にこう質問するんです。どうして醤油って塩辛いんですか?って。そう聞かれるのと感覚なんですよね!」と吉永広記社長。そして、こうも教えてくれました。「醤油が甘くてクレームを言われたことって一度もないんです」と。ただ、逆に今回の醤油は辛いぞという声は敏感に寄せられるといいます。甘さに特徴のある鹿児島の醤油です。