「なにか違う」を上手に表現するのは難しい

お吸い物の醤油

お吸い物にどの醤油の相性がよいか?を調べたくて、だしを用意して淡口醤油をずらっと並べる。即席のだし醤油にして順に比べていくと、なんだか違う。同時に比べないと分からないかもしれないほどの違いだけど、確かに違う。その違いを綺麗な言葉で表現できればいいのだけど、それがなかなか難しい。

この醤油を入れると甘みが増すような気がする。この醤油はだし感がより強調される気がする。そんなことを繰り返していると、口に入れた最初に感じる味と、しばらくして余韻のように感じてくる味があることに気づくのです。先味、後味のような表現できるのかもしれないけど、先味は強いけど後味はぼんやりしてしまうものや、逆に後味になるほどに強く魅力を感じたり。先味も後味も強くてそれぞれの味わいが変化するものなども。

お吸い物にしたとき、具材を入れた時にはまた違う印象になると思うので、もうちょっと試作が必要そうです。

醤油と微生物

醤油と微生物

醤油は発酵調味料とか醸造品といわれますが、その製造過程の主人公は微生物。麹菌・乳酸菌・酵母菌などが大豆のタンパク質をうま味成分のアミノ酸に分解したり、有機酸をつくって諸味のphを調整したり、香りに欠かせないアルコールをつくってくれたりと大活躍。

最初に活躍するのが麹菌。その麹づくりは醤油づくりの中で一番重要といわれますが、3日ほどかけて繁殖したものを塩水に入れると麹菌は死んでしまいます。でも、麹菌がつくりだした酵素が大豆のタンパク質をアミノ酸に分解したりと。これがないと醤油になりません。

麹に塩水を入れたものを諸味と呼び、ここで活躍するのが乳酸菌。醤油に爽やかな酸味や味の伸びや深みを与える有機酸をつくります。そして、乳酸発酵が進むほどに諸味のphが酸性になり、酵母菌が活動しやすい環境に。微生物のバトンリレーです。

醤油には2種類の酵母菌が活躍。はじめに主発酵酵母がアルコールを生み出し、それが有機酸と化学反応して複雑な香りを生み出します。そして、後熟酵母がゆっくり活動して味に深みをあたえます。熟成期間が長いと深い味わいになるというのはこんな理由から。

温度が高いと乳酸菌の前に酵母菌がどどーっと動き出してしまうことも。早沸きするとうすっぺらい醤油になってしまうので、酵母菌が動かないように低温を保ちながら乳酸菌にしっかりと活躍してもらいたいのです。そのため寒仕込みだったりも。

*参考:醤油づくりの微生物
http://www.s-shoyu.com/know/kh/235.html

おかかにあう醤油を探したら溜と甘口が人気に

おかかと醤油

コンビニのおかかおにぎりを買ってきて、おかかだけ食べてみたら結構甘くて濃い味つけなのですね。味覚がおかかって認識する要素を強調しているような。では、おいしいおかかを家庭でつくるなら?ということで、6種類の醤油でおかかをつくって食べ比べをしてみました。

事前の予想と結果が異なる結果に。特に、けっこう万能選手なはずの再仕込み醤油がおかかにはマッチしない印象でした。反面、甘口醤油と溜醤油がすこぶる相性がよく、新しい提案例ができました。


・白醤油
白醤油独特の風味が強調されて、白醤油だけのおかかはおすすめしません。他の具材があれば!(探し中です)

・淡口醤油
色が淡くてしょっぱい醤油なので、うま味のつまった塩おむすび風に。具材とあわせやすいので応用範囲広い。

・甘口醤油
一番の驚きが、この甘口醤油。それほど甘さが前に出てきません。おかかとの一体感はおみごと。

・濃口醤油
定番の濃口醤油は、おかかにあわせても抜群の安定感。そのままでも具材とあわせても◎。

・再仕込み醤油
うま味たっぷりの再仕込ですが、おかかとの相性はいまひとつ・・・一体感が生まれない印象なのです。

・溜醤油
濃厚な醤油。これがすごくあう!塩味とうま味がちょうどよくて、ぜひお試しいただきたい醤油です。


◆醤油の料理帖:おかかと醤油
http://www.s-shoyu.com/cook/2017/02/10/220/

畑醸造さん前橋に来店

畑醸造

富山県の畑醸造の畑さんが前橋に立ち寄ってくれました。「いつ出てこられたのですか?」午前10時過ぎに前橋駅で待ち合わせをしていたので、昨日までこの近辺で用事があったのものだと思い込んでいたら、「今朝ですよ。8時前の新幹線で!」と、思いがけない回答。北陸新幹線を使うと群馬と富山はこんなに近かったんですね。

畑醸造さんといえば、麹蓋による麹造りと地元でこのまれる甘い醤油とを手掛ける蔵元さん。麹室がレンガづくりなのも特徴で、レンガ室は全国探してもほとんど残っていないとか。1月22日まで日本橋とやま館にて畑醸造さんのある小矢部市のフェアが開催されていて、19日20日は畑さんも店頭に立たれているそうです。

アルコールが入っている醤油は悪いもの?

醤油 アルコール

■ 白カビ発生をおさえる目的

ラベルの原材料表示に大豆や小麦と並んでアルコールが記載されている醤油があります。そして、アルコールが書かれている醤油は悪い醤油だという意見を耳にすることもありますが、そう断定することはできないと感じています。

そもそもなぜアルコールを加えるかというと、白カビが発生することを防ぐためです。白カビは産膜酵母ともよばれていて家庭で醤油づくりをしていたり、量り売りをしていた時代には日常茶飯事として発生していたもので、布でこして普通に使っていたそうです。

好塩性の酵母菌の一種でぬか床の表面を覆う白い膜状の物の仲間なので、体内に入っても無害なのですが、現代では風味や香りを劣化させてしまうためビンの中での発生を防ぐ対策をしています。


醤油 アルコール

■ 白カビをおさえる3つの要素

産膜酵母の発生を防ぐには3つの要素があります。塩分が高いこと、うま味成分(窒素量)が高いこと、アルコール濃度が高いことです。この3つがバランスよく高ければよいのですが、どれか一つが低い場合は他の要素を増やす必要があります。

例えば、うま味成分が比較的少ない淡口醤油の場合、塩分を高めるかアルコールを高めるかの選択になります。そこで、塩分もできるだけ低く抑えたいという場合はアルコールを加えるという選択肢になってくるのです。逆に、アルコールを加えたくない時は塩分濃度を高めてあげれば原材料表示はシンプルな表示のまま保つことができます。

醤油の栓をあけた時にふわっとよい香りが立ちのぼってくるのはアルコールの揮発効果によるところもあり、発酵過程でアルコールは自然発生しています。酵母菌の働きによりアルコールがつくられて、商品としての醤油になった段階でも2%〜3%程度のアルコール濃度があります。添加されるアルコールはサトウキビなどからつくられる醸造アルコールが使われることが多いようです。


醤油 アルコール

■ どんな目的で使っているか

一方で、アルコールが添加されている醤油全てをおすすめできるかというと、そうとも言い切ることができず、安価に流通させることを目的にうま味成分を低くした醤油にアルコールを添加する場合もあります。

そのため、原材料表示にアルコールと書かれているから悪いもので、書かれていないから良いものという判断ではなく、つくり手がどのような目的でアルコールを使っているかで判断をしないといけないと思うのです。

http://www.s-shoyu.com/know/kh/074.html